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- もったいない精神
- 2014.06.07 SaturdayJUGEMテーマ:オリジナルキャラクター
少年は願う。このまま僕の命が尽きたとしても、僕を知る人たちが、僕の奇跡を忘れませんように。
存在を確かめるように掲げようとした手に、光が纏わる。
光は少年の手と同じ大きさの手となり、少年の痩せた左手を包んだ。
「忘れないよ。」
全く同じ色の瞳が覗き込んだ瞬間に、少年の意識は深淵へ沈んだ。
ツイッターで書いたSS。
誰かは内緒。すでに発表しているキャラではありますが。
- 匿名の独白とミヒャエル(仮)まわりの140字SSまとめ
- 2013.10.11 FridayJUGEMテーマ:オリジナルキャラクター
ツイッターで書いたお題やら妄想やらのまとめです。
※3人分の匿名の独白。1番目と3番目は細かい部分を抜きにすると当てはまる人が2人ずついたりする。
「」
偽りの名前は都合よく空気を揺らす。
この名前でいる間は、本当の自分を忘れて過ごすことができる。
過去なんてなかったかのように振る舞う。口から語るすべてが自分の真実であると自分を騙す。
俺に残された救いは、痛みを忘れることのできる名前だけだった。
手を伸ばす事はとても簡単だ。
しかし、伸ばした手で掴み取る事はとても難しい。
力を込めて、前へと手を伸ばす。
伸ばせども、奪われた目標へは届かない。
伺う僕の視線を受け止めて笑った君に、僕は憧れた。
前向きさ、勇気。
僕の望む僕を持っているのは、いつも君だった。
けれど、君の望む君を持っているのも、僕だと、君は訴えた。
その言葉に混じる怒りに気づけていたら、ここに存在するのは今と違う僕らだったのだろう。
※こっからスノーフォールの新キャラ、ミヒャエル(仮)の小ネタ
[ミヒャエルとエリーザ]
「僕のは手品じゃないんです。デザインなんです。」
「デザイン?」
「そう、僕の手品は魔術で作り出しているから、種も仕掛けもない。ただ、コンセプトや見せ方があるだけなんだ。」
「…よく、わからない」
「そっか」
エリーザは芸術とか疎いっていうイメージがある。
[ミヒャエルとテオドール]
「自由を手にする権利は、誰にでもあるよ」
「自由を捨てる自由もあるだろ!」
「…君は」
「俺は!エリーザのそばにいる!!それだけが、俺の存在価値なんだよ!!」
「…(どこまで口を出していいんだろう)」
自由の良さを知ってるミヒャエルと、エリーザのために生まれたテオドールの気持ちの差。
[ミヒャエルとユーリア]
「それで、いろんなところを旅しているんですか?」
「はい、移動が大好きなんです」
「そっか。いいね、私もたまにはエリーザと何処かに行きたいな…」
「いけない理由でもあるんですか?」
「エリーザが行きたいって思うかわからないもの」
洗濯物干したり、生まれてからそんなにたってないころは怪しまれない程度に買い物に行ったり。ユーリアはわりと外の世界が好きです。
ミヒャユーちょっといいなと思ったのは内緒だ。
- 140字SSまとめ
- 2013.09.16 MondayJUGEMテーマ:オリジナルキャラクター
ツイッターで書いた140字SSのまとめ。
だいぶ古いのとかあるけど手直しはしない。
[初期テオエリ]
「私ね、君がいればなんだっていいよ」
違わぬ温度の腕に頬を寄せ、少女は縋る。
「僕もですよ」
青年の右手が、少女の髪をゆっくりと梳く。
その温度も、腕の温度によく似て、少女の体温によく馴染む。
「いつまでも一緒にいてね」「はい、マスター」
少女のために用意された微笑みは、彫刻のように美しい。
[幸治郎と祖母]
家屋の戸を乱暴に開き、青年は不機嫌を隠さず言い放った。
「ババァ、来てやったぞ」
この門戸をくぐる度、口の悪い祖母に言い負かされた日々を思い返す。
不機嫌の理由はそこにあった。
「幸、相変わらず口が悪いねぇ」「お前が原因だろ」
皺だらけの頬を持ち上げ笑う老婆に、薄い憎悪を交えた視線を返す。
「そうさねぇ」
干からびた唇の隙間から覗くギザギザの歯。
この組み合わせが生む言葉に太刀打ちできず、悔しそうに帰途についた少年の日が、青年の意識に這い登る。
「悪かったねぇ」
目元にシワを増やし、いつまでも自分を翻弄し続ける祖母に、青年は親しみの無い笑みを返した。
[幸リィ]
突然に、弱い力が腕に加わる。
視線の先にはいつもの笑顔。
「こんにちは!」
警戒を忘れた信頼が油断を招く。
「…俺が悪い大人なら」
足を折り、視線の距離を縮めた。
「容易く君を殺せるだろう」
額が触れそうな程、近づく。
硬直する彼女の頬の赤が、意図と違う感情を持ったと語る。
[幸小夜]
腕を組み俯く顔は穏やかだ。
空気が往復する音で、その表情が寝顔だと気づく。
存外幼い寝顔は、解かれた警戒を意識させた。
近づく、という選択肢が生まれる。覗き込むように、自分の頭を動かす。
近すぎると感じる距離で、眼前の瞳が開く。
瞬時にして空気が固まる。
「気づかれないと思ったか」
[アンササ]
はなしたくないのに。
彼の背中にうずめた顔の、形の良い唇が零す。
自分以外に聞こえないように、ごく小さな音を生んだその部分にも彼のくちづけを受けているのに。
私は、彼に何を伝えていいのかわからない。
追記から死ネタとか同性カプとか首絞めとか。
- RTお題SS
- 2013.08.01 ThursdayJUGEMテーマ:オリジナルキャラクター
ツイッターでのRTお題SSです。
同性CPは追記から。テスラデ、右幸、ラデテス。
【イヤホン分け合って音楽を聴くテオエリ】
機械から延びるコードは、途中から二股に分かれており、隣接するエリーザとテオドールの耳にその先端が装着されている。
先端の装置から発される音楽は、優しい手つきで二人の鼓膜に触れた。
「『思いを紡ぎ、音を成し、この世界へと流し込んだものが音楽なのだ。』ってさ。」
数日前に目にしたテレビ番組の中から、不意に脳味噌をつついた言葉が、テオドールの唇から流れ出る。
「俺とおんなじだな。エリーザがいなきゃ俺は生まれてないから。」
「でもね、テオドールがいなかったらね、私もいなくなってたと思うの。」
「…そっか。」
会話はそこで途切れた。
鼓膜に触れる音楽を共有しながら、アスファルトを濡らす雨の音に包まれ、ソファに体を預け、それぞれの思考に没頭し始めた。
先ほど交した言葉と、心地よい音に、小さな幸福を感じながら。
イヤホン使うより、レコードとかのほうが似合うと思うけど、お題なので。
- 11/24ササラ、エデン、アンサス合同お誕生企画ログ
- 2013.02.16 SaturdayJUGEMテーマ:オリジナルキャラクター
大変遅くなりまして申し訳ございません!
去年11/24に行いました、ササラ、エデン、アンサス合同お誕生日企画のログでございます!
リクエストいただきました天晶さん、ありがとうございました!
[ササラとアンサス/黒い月]
月は強い光を放ち、自らを覆い隠す雲を黒に染める。遥か真下の森も、隠れた太陽により、黒く染まる。地上の黒に、赤が飛ぶ。喉を抉る。心臓を穿つ。道徳に反しているはずなのに、繰り返すほどにどうでもよくなる行為を繰り返す。人の道を外れる。世界が反転する。
[エデンとイツク/白い猫]
夜に浮かぶ白い毛並みの猫に、そっと指を伸ばす。細い指に摺り寄せられた頭の、柔らかく暖かい感触に、自然とエデンの口元が緩む。「エデンさんが笑うなんて珍しいですね」嬉しそうに指摘するイツクの微笑みに、エデンは口の筋肉に力を込めた、いつもの表情を返した。
- 9/30 渚、スミレ合同お誕生日企画ログ
- 2012.11.19 MondayJUGEMテーマ:オリジナルキャラクター大変遅くなりましたが9/30、スミレ、渚合同お誕生日企画のログです。
リクエストくださった方、ありがとうございました。- [渚と聖]
- どれだけ綺麗に、緻密に積み上げようとも、土台を壊せば全てが崩れる。「聖の野郎…」二人の関係も、その例に漏れない。積み上げた思い出は、互いの、根本の性格によって、崩されてしまったのである。再び積み上げることを夢見る兄と、瓦礫を蹴飛ばす弟。どうにも噛み合わない。
- [スミレとアヤメ]
- 確かに、彼女は私よりも年下で、非力で、守られるべき存在だ。備え付けのソファに並んで座り、他愛ない会話を繰り返す。そのうちに、彼女の言葉は不明瞭になり、最後には寝息に変わった。眠る彼女は間違いなく年相応の少女である。「私とは違うんだ」高すぎる背も、強すぎる力もない、ただの女の子。
- 8/13、聖、アサクラ合同お誕生日企画ログ
- 2012.08.29 WednesdayJUGEMテーマ:オリジナルキャラクター
8/13、聖、アサクラ合同お誕生日企画のログです。
今回完全にリクエストがなかったので診断の結果から連想したやつです。 ちょっとずれてるから元のお題を乗せるのは気が引けるというか…ううん。
- [聖渚/苦しくて、苦しくて、泣き叫ぶ事すら出来ずに。]
- 互いに苦しい思いをしている。原因は、互い。視界の端に捉えた瞬間、僕の存在を圧迫する威圧感。「何見てやがる」「見てないよ」顔を歪めて、不快感をあらわにする彼。僕にはそんな勇気はない。曖昧に笑って、その場をあとにするだけ。
- [聖明/捕まった、捕まえた。]
- 明るい日、と書いて、あした、と読む。日のない夜に、僕らは瞼と心を閉ざす。今日と明日の境を、意識せずに超える。超えた先には、明るい日。僕らがあしたで、一番最初に浴びる光。「宮永さんは明るいね」夜を越えずとも訪れる明日の光。捉えることのできる存在。
- [イツ聖/このまま騙されてしまえば楽なのだろう。]
- 「どんな時でも一緒にいると、きっと楽しいんですよ!」彼が幸せそうに言うから、そういうものなのだと思うようにした。彼の笑顔と、僕の笑顔を、極力同じ雰囲気にする。同調することには慣れている。「ヒジリさんは僕といて楽しいですか?」「楽しいよ」同じ調子で返す。造作もない。
- [テスアサ/惚れた弱味。]
- 口ではなんとでも言える。という言葉を心に秘めている。彼は私を好きだと言う。私は、彼の愛に疑問を持っている。しかし、それを伝えることが、うまくできない。私は彼を好きだから、彼に嫌われる発言を避けているのだろう。好き、なのだ。紛れもなく、そうなのだ。
- [トリアサ/口付けで眠らせて]
- 「おじいちゃん!ちゅー」テスカトルが与えた絵本の影響で、ここ最近のトリンのブームは、おやすみのキスだ。何かと理由をつけて拒否するテスカトルに腹を立てながら、彼女は私にもキスをねだる。「わかったよ」親愛のキスなら、与えることができるのだから、それで満足してもらおう。
- [アサ妻/最初で最後の愛しいひと]
- 彼女の形は明確に思い出せる。記憶の風化に歯止めをかけるのは、引き出しに隠した写真。いつまでも笑いかけ、私の心を離さない。瞼の裏に焼き付く笑顔の形に、暖かな気持ちを向ける。変わらぬ気持ちが心に咲いている。
次回からは診断メーカーの結果で書こうかなと思いました。 もちろんリクがあるならリクがいいよ!!!
なんにせよお付き合いありがとうございましたー!次回は9/30に渚、スミレ、合同を予定しております!
- 6/9、明梨、アヤメ、遥香合同お誕生日企画ログ
- 2012.07.19 ThursdayJUGEMテーマ:オリジナルキャラクター
大変遅くなりましたが6/9の明梨、アヤメ、遥香、合同お誕生日企画のログをアップいたします。参加してくださった方、閲覧してくださった方、本当にありがとうございました!
今回はリクエストが1つだけだったのでアヤメちゃんとラデルの話も書いてみました…このころスランプ気味だったのか全くお話が思い浮かばなかったのです…。少ないお話ですのでサクッと読んでいただければありがたいです!
- [アヤメと明梨と遥香]
- 少女たちの弾ける声が重なり、雰囲気を塗り替える。薄い白を重ねたように、明るくなる空間。「お前たちは暢気なものだな」咎めるつもりで放った言葉を笑顔で受け止めて、少女達は笑う。「アヤメちゃんもお話ししようよ」寄せた眉根にも、彼女たちは怯まない。
- [アヤメとラデルマケラ]
- 「眠れないんです」薄明かりの落ちる夜の通路に、二つの影が色をつける。「早く寝ろ、それも仕事のうちだろう。最低限努力はしろ。眠れずとも目を閉じろ」言葉の波に飲み込まれた思考を掬い上げるも、反論は浮かばない。「さよならだ」かつかつ、と隙間の小さい音と共に一つの影が遠ざかった。
- 4/14、イツク、トリン合同お誕生日企画のお礼とログ
- 2012.04.17 TuesdayJUGEMテーマ:オリジナルキャラクター
4/14、イツク、トリン合同お誕生日企画、無事終了しました。参加してくださった皆様、見守ってくださった皆様、本当にありがとうございました!
というわけで!企画で書かせていただいた140字SSのログを掲載したいと思います!
- トリンとラデルマケラ
- 制服を掴んだ腕を引き寄せると、その力に従い、彼はしゃがんだ。同じ高さの目線が交わった瞬間、少女は笑う。「どうかしましたか?」「ラデル君、好きー」頬の弧が薄い赤を帯びる。「ありがとうございます」友愛を空気に乗せて、彼も笑い返す。
- イツクとテスカトル
- ゆらゆら揺れる赤、青、黄色。「テスカトルさんは花は好きですか?」「…どーだろ」草花を踏み潰す感覚が、靴底に蘇る。魔術に焼かれた野原の、焦げた匂いが鼻を掠めた。「嫌われてはいるかもな」イツクの見たテスカからは、表情が消えていた。
- イツクとエデン
- 聴覚を揺さぶるもの。拍子木を合わせる音、笛の音、人々の明るい声。嘘だ、幻聴だ。目の前にあるものは扉で、その向こうは…。ぐい、と後ろ髪を引っ張られる。振り向くと褐色の少女が視線を投げかけていた。「考える前に、ご飯」
- トリンとラデルマケラ
- 手をつなぐことを覚えたのは最近のことだった。あの少年に習ったようなものだ。垂れ下がる右手に、彼女の左手が重なる。手のひらに加わる弱い力を潰さぬように包む。微笑みを守るためには、細心の注意を払わねばならない。
- 白を壊して/イツクとテスカトル
- 記憶は白紙の世界だ。色も文字もない過去に、馳せた思いのみが刻まれる。「さぁ、行きましょう。お願いします」ドアノブに触れる掌には汗が滲む。加えた力が扉を開く。自分に続く足音は、勇壮に響いた。少しずつ刻まれる。白紙の世界に日々のリズムが。
- その花はあなたに/トリンとエデン
- 部屋のテーブルには花瓶。ふうふう吹く風に促され、向きを変えた花の顔がエデンに微笑みかける。昨日には存在しなかった光景だ。「どうしたの」花瓶を指差し、エデンは尋ねる。トリンはにこにこと花のように笑い、答えた。「エデンちゃん、元気なかったから!」
- 魔法の靴音/トリンとテスカトルとアサクラ
- 響く、廊下に、心に。弾むものは、靴音か、心臓か。「おじいちゃんと、おにいちゃんは、靴音でわかるの!」豪語する少女は、胸の前で両手をきつく握る。力いっぱい、訴える。二人は特別なのだ、二人がいると世界が変わるのだと。
- みえない/イツクとラデルとアンサス
- 手繰り寄せる、引き寄せる。姿はなく、意識も届かない。「気にはならないんですか」「何が、でしょうか」察してはいる。しかし、隠す。じりじりと、焦げる空気。「不毛だからやめような」向かい合う少年たちに、言葉がかかる。二人の間に陰が横たわり、空気が冷える。
- 絵を、かこう/トリンと小夜風
- スケッチブックには、色も形も置かれていない。真っ新な受け皿の横には、色の湖。すくい上げた鉛筆は、緑。「何描くんだよ?」「おにーちゃんとおじいちゃん!」「おい、下にくる色から塗るんだよ」緑を奪い、橙を与えた。「顔を描くのが先だろ」指示通りに右手が走る。